『グッドラック』という本に次のような物語が出てきます。

王国の平和を守っている一人の賢者が、国中の騎士を集めて、「『幸運の四葉のクローバー』を『魅惑の森』の中から探してほしい」との訴えをします。

広大な森から1本のクローバーを探すことの困難さに、多くの騎士たちは立ち去りました。残された二人の騎士は「黒マントの騎士」と「白マントの騎士」です。二人は「魅惑の森」に馬を走らせます。

次の日、黒マントの騎士は「大地の王子」に会って「幸運の四葉のクローバー」についてたずねます。すると「大地の王子」は「そんなものはこの150年生えたことがない」と言います。黒マントの騎士は別の誰かを探しに去ってゆきました。

一方、白マントの騎士も「大地の王子」をたずね、「黒マントの騎士」の時と同じことを言われます。しかし、白マントの騎士は「なぜ、生えないのですか?」と、その理由をたずねます。「土が悪いから」という答えでした。白マントの騎士は苦労して、森の一箇所の土を新しい土と入れ替えます。

次の日、黒マントの騎士は「湖の女王」にたずねます。しかし答えは「この森は水流がないのでクローバーは生えません」でした。黒マントの騎士は暗い気持ちで次をあたることにしました。

白マントの騎士も「湖の女王」に出会い、黒マントの騎士と同じ説明を受けます。しかし彼は、湖の水を新しい土地まで引いてゆくことを思いつきます。それは「湖の女王」にとっても助かりました。

次の日、黒マントの騎士は「木々の女王」にたずねます。ここでも、「この数千年の間一度も生えたことがない」との答えでした。

一方、白マントの騎士は「木々の女王」から、「枯れ木を落とせば適量の日光が当たる」ということを教えてもらいます。数千年間一度も手入れがされていなかったその場所の、枯れ木を落とし、適量の日光が入るようにしました。

そのうち黒マントの騎士は賢者が嘘をついているのだと思います。かたや、白マントの騎士は「石の母」から「小石を取り除くように」と教えられ、苦労して小石を土から取り除きました。

翌朝、「幸福のクローバー」の種が空から森中に降り注がれました。種は新しい土の上でまたたく間に芽を出し、たくさんの「幸福のクローバー」になりました。

実はその種は毎年、この森にも注がれ続けていたのです。ただ、白いマントの騎士はその種を迎えるために「下ごしらえ」をしたのです。

神様の御言葉の種はいつでも降り注いでいます。しかし、その言葉が私たちの人生に芽を出し、実を実らせるためには「下ごしらえ」が必要なのかもしれませんね。