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2004年6月 第210号                                         
    「憂いは骨をも枯らす」
  
       福島学院大学福祉心理学教授(福島教会) 星野 仁彦(よしひこ)
  
 早いもので私が医大を卒業して精神科医・心療内科医になって33年目であるが、この頃益々確信しているのは、多くの病気を作るのは悪いライフスタイル(食事、睡眠、アルコール、タバコ)と心のストレスであり、病気を癒すのも良いライフスタイルと心の平安であるということである。こんなことは今更言うまでもないが、それが守られていないから、日本ではガン死が3人に1人(2015年には2人に1人)にまでなっているのであろう。
 私は福島県郡山市のロマリンダ・クリニックで、毎月全国から来院される40〜50人のガン患者さんを診ているが、彼らのほとんどがかなりの進行ガンや末期ガンの方々である。それでも「自分は神様から与えられた自然の食材を食べて、必ず治る」という確信を抱いて、前向き、積極的にガンと闘っている人はガンを克服したり、ガンと共存しながら長期間生存している。これに対して、無理に家族に連れてこられ、半分幽霊のような感じで落ち込んで絶望的になっている人は、食事療法を初めから指導してもなかなか難しい。このようなうつ状態の人には、まずカウンセリングと抗うつ薬で心を元気にしてから、ゲルソン療法*を指導している。こんな時、自らガンを克服した精神科医のカウンセリングは大変効果的であり、「幽霊のようだった人」が、午後には、「明るく元気に病気と闘う人」になって帰っていく。
 さて、病気の告知は誰にでもありうる「人生の危機」であるが、その時こそ、その人の信仰、人生観、夫婦・親子の絆が凝縮されて現れるように思える。日本人の多くは、告知されると、うつ状熊、八二ック、不安・恐怖状態になってしまうが、病気に限らず、リストラ、経済的困難、家族の悩みなどで自殺する人は毎年3万人を超え、今や欧米と比べて自殺率が倍以上の「自殺大国」になってしまった。様々な人生の危機に直面した時に、前向き・積極的に闘うために日本人にとって欠けているのは何であろうか。
 皮肉なことに、うつ状態になると記述力が益々下がり、リンパ球活性が一層低下することが、近年のPNI(精神神経免疫学)の発展によって知られてきた。まさしく「泣き面に蜂」であるかのように、うつ状態になると、ガンのみならず、心身症、心臓病、膠原病などの全ての身体の病気になる。
 「心の楽しみは良い薬である。魂の憂いは骨を枯らす」(箴言17 : 22)、「人の霊は病にも耐える力があるが、沈み込んだ霊を誰が支えることができよう](箴言18 : 14)
 PNIを説いた聖書はまさしく、人間を創造し、人間の弱さを知り尽くしたお方の言葉であろう。多くの日本人にとって欠けているものは、危機状況の中で最後まで確信をもって「信じるもの」ではないだろうか。
*注:ゲルソン療法⇒p.3「原宿彩彩」参照(編集部)。





原宿彩彩


「ゲルソン療法」とは  *(p.1注)

 ガン患者のための、穀物と野菜を中心とした食事療法で、ドイツ生まれの医師マックス・ゲルソン博士が創始者。ややもすると敬遠されがちな、その厳格な療法を、原則を守りつつ家庭でも実行しやすいようにアレンジしたのが「星野式ゲルソン療法]です。献立ての内容や実践例・治癒例の詳細については.,@星野先生著『ガンと闘う医師のゲルソン療法』や、A生治評論家・薬剤師の境野米子(さかいのこめこ)さん(福島教会員)著「病と闘う食事」でどうぞ。(@マキノ出版、1998年刊、定価=本体1600円、A創森社、2002年刊〈2003年第三版〉、定価=1714円)
★星野先生の最新刊をご紹介 VOICE社から『知って良かった アダルトADHD」がこの3月に刊行されました。 “ADHD” とは、Attention.Deficit/Hyperactivity Disorderの略。一般に「注意欠陥・多動性障害」と訳されます(ただし先生は「障害」という語は不適切だとして「発達アンバランス症候群」という訳語を提唱しておられます)。 B6型・390ページ余の大冊ですが、史上著名な人物をはじめとする症例や臨床例を掲げつつ、発症のメカニズムや自己診断法、予防法・治療法などを、一般人向きに平易に説いた好著として、今話題になっています。(定価=本体2200円)
                                                                                                      






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